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想いを少しだけ
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二日目の夜
私は再び
小船で凪のマングローブの森に漕ぎ入った
東の空には真ん丸に育った月が低く滑っている

トビハゼが浅瀬で背びれをぴんと立て
這い回り鉛色の泥の中にもぐっていった

シオマネキは忙しげに
月と反対の闇に消えていった

暫く揺れにまかせていると
月が南中し
その光は漆黒の森の隅々までに達した
私はこの瞬間を待っていた

光は張り巡らされた根っこによって
分散され跳ね返り飛び散り
網目のマングローブの屋根を
万華鏡のごとく照らした

それは神秘そのものだった

私はやはりここが
どこにもない場所だと確信した

そう「どこにもない場所」だと



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